2024年9月27日金曜日

そんな程度に うすく あわく

 

 

 

   ちょうちょ ちょうちょ

   菜の葉にとまれ

   菜の葉に飽いたら

   桜にとまれ

   桜の花の 花から花へ

   とまれよ あそべ

   あそべよ とまれ

   野村秋足 『ちょうちょう』

 

 

 

 

ひろく

少しでもふかく

この世の人間世界を見ようと

努めてきた

ものだったが

 

この頃

しみじみと思う

 

結局

ひろく

少しでもふかく

この世の人間世界を見ようと

など

する必要はなく

 

せまく

幼児を遊ばせられる

水辺ほどに浅く

気まぐれに

めっぽういい加減に

その時その時に変わる気分のまま

酒に酔ったような頭で

見たり見なかったりしておけばよくて

季節ごとの

おのずと目を惹かれる

きれいなもの

たのしいもの

おいしいものに

蝶々のように

こころを遊ばせ続けていればよくて

 

もし

ことばを

なおも

たなごころの上で転がせて

お遊びじみたことがしたいのなら

俳句みたいな

短いことば遊びをして

どこかの

ひろいお庭にむいて

枯れ切った人さながら

ボーッと日の移ろいに視線を放ち

お茶でもちびちび

啜ったり

啜らなかったり

していれば

いい

 

そんな程度に

うすく

あわく

つき合っていればいいところ

 

この世は






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