2017年1月4日水曜日

ヴェルサンジェトリクス*



計画的にガリア侵略を開始すると
カエサルはつねにガリア人部族を
他のガリア人部族に敵対させ
殺させ合う巧妙な方法をとった
カエサルの無慈悲さは徹底的で
10万人単位でガリア人を斬首し
同じ数の奴隷とともにローマに送った
圧倒的で無慈悲な武力攻勢で
ローマが押し続けるこうした状況のなかで
全く私利私欲のないガリア人の長
オーヴェルニュ地方出の
ヴェルサンジェトリクスが
前面に出てローマと戦うことになる
彼については敵のカエサルでさえ
「決して自己の利益のためでなしに
「たゞ諸部族の自由のためのみに
武器を取った男だったと記している
ひさしぶりにガリアの英雄に触れて
はじめてオーヴェルニュ出に気づいた
死んだ友の故郷でもあったところで
たびたび私も訪れたところだったから
私がよくやったように英雄も山の川で
鱒釣りを日がな一日やっただろうか
キノコ採りやベリー採りに没頭したか
捕えられたのち英雄はローマに運ばれ
陽の入らぬ獄に五年間繋がれ続け
カエサルは戦勝記念に彼を引き出して
衆人環視の中で首を掻き切らせた
この後ガリア人同化政策が始まるが
フランス史とヨーロッパ史はここから
本質的に幕を開けることになる
もっとも近年の研究ではカエサルが
じつはヴェルサンジェトリクスに
それなりの敬意をもって遇したのでは
ないかとの見解も出てきてはいる
五年間投獄したとか処刑したという
確たる証拠があるわけでもないらしい

*Vercingétorix




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