2017年1月4日水曜日

朝倉由紀夫氏と峰岸洋平氏



私の言語配列作業においては
故意の無意味さやおふざけ
韜晦や痴呆ぶりも
一定量以上は混ぜることにしている
ひとつの表現にひとつの意味が担わせられる
意味論的隷属階級特有の言語使用法から
少しでも言葉たちを逸脱させるために
これは最低限の必要時だからである

THE MAILというメール雑誌に掲載し続けているが
その編集は朝倉由紀夫氏に一任している
配列した言語群を彼に添付ファイルで送り
そこから彼が選んでTHE MAILに載せる
誤字脱字は彼が直してくれるが
時には書き換えや編集までしてくれることもある
私はそれに対して異を唱えない
朝倉氏に原稿を送る時点ですでに
私にとっての言語配列の意義は
遂行されているからである

THE MAILへの掲載が済んだ時点で
朝倉氏は同内容のコピーを峰岸洋平氏へ送る
今度は峰岸氏がそれを
ブログ《駿河昌樹詩抄》に掲載する
峰岸氏は大変な愛酒家で
アルコールが入っていない時がないため
ブログにコピーを移行する時点で
いくらか不具合が生じる場合もある
コピーするだけなのだから
誤字脱字などが生じるはずはないのだが
酔いにまかせてということなのか
読みながら勝手に文字を弄ることも多い
峰岸氏がブログへの掲載を終了した頃
自分の名を冠するブログを私も覗いて
チェックをすることになるのだが
あまりに私の意に副わない改編が
なされてしまっている場合には
さすがに峰岸氏にその旨を伝え
訂正をお願いするということになる

とはいえ
朝倉由紀夫氏と峰岸洋平氏の手を
ここまで煩わせている以上
私としては彼ら二人との合作という思いも強く
さほどの訂正を求めたりはしない
稀に私が並べた文字配列とは
相当に変わってしまう時もあるが
そこは朝倉氏と峰岸氏の発案を織り込んだということと見て
そのままにしておくこともある

ともあれ私としては
こういう共同作業をさらに長く続けていけるようにと
峰岸氏の過度の飲酒を心配している
いくらアルコールに強い体質で頑健な人だとはいえ
四六時中グラスや盃を手放さぬほどの飲酒癖というのは
やはり体にいい訳がないだろうから

正月ということで
慰労も兼ねておふたりと白骨温泉に二泊してきたが
日頃から飲み続けている峰岸氏だけでなく
もちろん私や朝倉氏もこの時ばかりはと酒を手放さなかった
三人とも興味も趣味も多岐にわたっていて談は尽きないが
峰岸氏が「そういえば」と
私の言語配列について聞き及んだ噂を語った
「ずいぶんミョウチキリンな文字並べをしたり
「ふざけたことが書いてあったりするように見えるものだから
「この配列者はそうとうの奇人か馬鹿者だと
「思っている人もいるそうですよ
それを聞いて私は大笑いし
「そう思われるなら本望ですな
「今のご時世にあって奇人や馬鹿者以外に
「人間性を保持できる者などいませんからな
と加えたが
いくらかマトモ過ぎる取ってつけたような返答で
意味論的隷属階級特有の言語使用法に陥ってしまっている
こういう時は大枠の構造においてハズシを仕掛け
逸脱を組織しなければならず
今回のこの『朝倉由紀夫氏と峰岸洋平氏』においては
朝倉氏と峰岸氏の書き換えた部分を
最後に私がもう一度大きく変更するに到った次第なのである



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