個人の記憶ばかり
たとえば幼時のそれから
青少年期のそれ
壮年期のそれへと
飛び飛びに思い出され
取り沙汰されてしまうばかりだが
わたしの体そのものが
そもそも
生物たちの記憶
原子分子たちの記憶
宇宙創成の大爆発の瞬間から
今此処まで突き進んできた
疾走する彷徨者たちの記憶
それらがわたしのわを成し
たを成し
しを成し
しばらくはわたしを成して
逝けるもの
逝けるもの*
さらに
さらに
疾走していく
やがてわたしを解き
わを壊し
たを壊し
しを壊して
さらに
さらに
疾走していく
逝けるもの
逝けるもの
さいわいなるかな**
*羯諦羯諦、波羅羯諦(般若心経)
**薩婆訶(般若心経)
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