2017年3月7日火曜日

小型トラック一台分以下ぐらいの



集めた本を
どんどん読んでは
どんどん手放していく
そんな時期に
かならず
本好きたちは入っていく

もう
人とムダなおしゃべりなんかしない
用事や仕事以外では
わざわざ人に会いになんか
出かけていかない
外に出かけるのは年中だとしても
電車の中でも待ち時間でも
暇がれば本を出して読んでいる
用事や人と会うことが
いわばコマーシャルタイム

生きている人と話すようなことは
はるかに精緻に
選ばれた言葉によって
さまざまな本に書かれているから
人間はそれほど
ひとりひとり独自なものではないのだ
残念ながら
本を書いた作者にだって
べつに会う必要はない
大事なのは作者ではなかった
書かれたかたちでの
文字の並びでしかなかった
もともと人間なんて
どうでもよかったのだ

死ぬ頃には
ほとんど手元に
本がなくなっている
なんていうのが
どうやら望み
その頃になっても
手元に置いてある本こそ
その人にとっての
まさに本と呼ぶべき本
真の本

そんな本に出会うのが
どうやら一生の
本当の夢だったのかもしれない
あこがれだったのかも
しれない
きっちりとは
なかなか行きそうもなく
誤差はどうしても出そうだが
まァ小型トラック一台分以下ぐらいの
書籍ゴミを残す程度に収まれば
なかなか
見事な本読み人生だったと
いうことに
なるんじゃないかな



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