ひとは自分だけは正しいと思う
この妄信から逃れ出るのは途方もなく困難だが
神の恩寵とも呼べる不意の椿事がときおり襲来し
ひとは自らの盲を悟らされる
それを他人に告白する必要まではない
言葉はつねに別の妄信を創らせる魔
語らないことの清浄と静謐を
むしろ頼みにすべきだ
心身は原子間の空無でできているから
悟られたことは空無の間を瞬時に移動し
他人を構成する空無にすぐに広がっていく
自分の心身や精神がどう生まれたのかも詳らかにしない者は
この空無の働きを丸ごと信じてしまうがよい
下手な疑いのふりをしてみるよりも
よほどそのほうが自然のはからいに適っている
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