春はやいうちの開花を控えて
つぼみを日々ふやす木々が居間の前にはある
やわらかい雨に
それらが濡らされるのは
見ていて心地よい
ちょっと暗く
しずかな小雨の一日
まるでさびしいような心もちで
わたくしはなんだか
全生涯をふり返っている
長いようで
みじかな
古い映画のような映像が
つぎつぎ
心のなかを流れていく
どれもこれも
もうわたくしとは
関係のなくなってしまった
与えられ続けだった
時のひとこま
ひとこま
けれども
わたくしの思いのなかにだけ
しまわれている
ひとこま
ひとこま
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