いやしい仕事でわずかの銭を稼ぎ
日々生きのびる糧を得てきたわたしには
太陽のひかりの下を歩むのも
曇天の下をさらに低く低く歩むのも
ともに
たのしみ
うれしみ
誰にもほとんど見とがめられない
貧相な小さなからだで
老いさらばえた
今にも消え入りそうな鼠のように
壁づたいに
また
木々の蔭から蔭をつたって
この世の隙間隙間を
音もなくたどり続けてきたけれど
この頃はもっと姿も希薄になってきたようで
それがじつは
たのしみ
うれしみ
いるのかいないのか
もっと誰にも感じられなくなる
そんなありようが強くなっていく
このかるさの
この価値のうすさの
たのしみ
うれしみ
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