夢をみればまた隠れあうこともできるが妹よ
江戸はさきごろおわったのだ
あれからのわたしは
遠く
ずいぶんと来た
いまわたしは、埼玉銀行新宿支店の白金(はっきん)のひかりをつ
荒川洋治
『見附のみどりに』 (「水駅」、昭和五十年)
ネット時代
も
もう
とう
に
飽和
スマホ時代にも
端末時代にも
とうに
アップアップして
アップ
された
フォトだの
動画だの
いやおうもなく
目に
飛び込んできて
アップ
アップ
アップ
アップ
溺れながらも
フォトを見るのは
好き
アップ
アップ
きれいだな
おもしろいな
すてきだな
そんなのは
ちょっと
保存しておきたくもなる
で
SNSのじぶんのタイムラインに
アップ
いただいちゃったりする
そういうのは
シェア
とかいうらしいが
べつに
他人に見せたくてしてるわけじゃない
じぶんが
見直しやすいように
つかの間
貯め込んでる
だけ
アップ
アップ
してる
だけ
共有なんて
そんな気
べつにないから
アップ
アップ
ですから
フォトにも
なんというか
格差がある
レベルの差がある
カラーがどぎつすぎるのは
もちろん
レベルが低く見える
いかにも
大衆が好みそうだよナ
っていう
フォルムとか
被写体とか
そういうのも
レベルが低く見える
でも
フォトを
アップ
アップ
たくさんシェアしてるうちに
ぼくは気づいた
ぼくって
ようするに
アップ
アップ
カラーや
フォルムを見たいだけなんだ
って
そうなると
人工的に調整されたカラーや
強調され過ぎたカラーも
カラーはカラー
って
ことになって
アップ
アップ
選択範囲に入ってくる
フォルムも
そう
時代を問わず
スポーツカーのフォルムには
やっぱり
圧倒的な異様な魅力があったりする
美女たちの
胸や腰の曲線美も
その人たちの一生のごくわずかの数年の
貴重な美で
御本人も
他人も
それが保たれてる
今
アップ
アップ
しっかり見ておくに限る
それら
フォルムの極みを見た後
そこらのニッポン人街のせつない風景なんか
見ちゃったりすると
アップ
アップ
哀し
哀し
となる
実地でワビサビしてる
中世趣味の
国だぜ
まったく
人目を惹く
ことなんか一切気にかけないで
ぼく目を惹く
カラーやフォルムだけを
アップ
アップ
つかの間
twitterに載っけてみてると
いつのまにか
国を問わず
いろいろなところの未知の人から
「いいね!」が来たり
リツイートされたりするようになった
じぶんの
その時々の好みで
枠を嵌めずに
アップ
アップ
カラーやフォルムを集めているだけだから
おんなじ好みの人が
アップ
アップ
「いいね!」してきているだけで
ここには
しがらみも
知りあい同士のなれ合いもなくって
アップ
アップ
ちょっと
いい感じだ
もとより
SNSなんて
アップ
アップ
中二病の人ばっかりの
心理的に不純なものの渦巻く場所の極みだと
思っているけれど
アップ
アップ
まったく見も知らぬ
世界のあちこちの人たちから来る
「いいね!」は
比較的
純粋なほうの表象かな
と思ったりする
アップ
アップ
アップ
アップ
0 件のコメント:
コメントを投稿