だれひとり
じぶんの人生の最後の最後を
見収めることはできない
なんでも
じぶんでじぶんを
コントロールしようとし
コントロールできるかのように
信じ込んでみたがる
現代の考えの傾きかたを
見聞きするたび
アハハハ
と笑ってしまう
腕の脈をとって
ご臨終です
とじぶんに告げる
医師にはなれない
死んだ
じぶんのからだを
洗い清めるのも
じぶんではできない
じぶんを柩に納め
顔のまわりに
隙間なく花を飾って
蓋を閉め
霊柩車に運び入れるのも
じぶんではできない
火葬場で
最後の浄化の炎を
点火するのも
じぶんの指ではできない
じぶんの墓にむかって
手をあわせる時
あれ?
水入れの底が
ちょっと汚れちゃっているな
などと気づき
ティッシュなどを出して
それを拭うことさえ
じぶんでは
もう
できない
じぶんの最終章をじぶんで書く
ということの
この
絶対的な不可能性をこそ
人生
というんだよ
たぶん
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