勝ちいくさとわかっているのに
たいへんに見せ
しぶしぶ従軍
しているようにも見せ
粗衣を纏うよう努め
キリギリスの声に
ひょろひょろ
細い口笛など添わせて
だって
この世なんて
ヴァカンスですもの
ここが
真実の現れ出る場所だなんて
思ってらっしゃる？
どんな経験も
学びも
はてはギョウセキとやらも
からだの死
意識の死とともに
ぜんぶ消えていくこの地で
すべきこと
するべきでないこと
どうでもいいこと
だいたいでいいこと
たとえば
海のちょっと沖合い
ゆるやかな波の時にでも
何時間も揉まれて
思い直してみたほうが
いいかもね
たとえば（その２）
ひとりバスタブで
あかりを暗くしたりして
ちょっと長めに
目をつぶって
生きているけど死んでるような
湯灌タイム
それもいいかもね
そうして
思い直してみたほうが
いる
生きている
存在している
なんて
ばかな思いに舞い上がってないで
消える前の
ちょっとのあいだ
ほんのちょっとの空白タイム
それがこれかぁ
自分っぽい
自分みたいな
もやもやした夢ごこち
思いちがいの
わたし感覚
だれがわたしで
だれがそのわたしを映写されて
受け止めて
妄信してるんだか
なんて
思い直してみたほうが
すべてが
すべてが
すべてが
消えていく
この地で
するべきこと
するべきでないこと
どうでもいいこと
だいたいでいいこと
たいへんに見せ
しぶしぶ従軍
しているようにも見せ
粗衣を纏うよう努め
まぁ時には豪華な衣装もいいけど
それにしたって
低の低の上ぐらいだろうけれど
なんであれ
まぁ時にはね
時にはね
とにかく
だれにとっても
勝ちいくさとわかっているから
キリギリスの声に
ひょろひょろ
細い口笛など添わせて
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