春には
いろいろ
いい言葉や
いいものがあるが
なかでも
春風
という言葉は
好き
白楽天の「賦得古原草送別(古原草を賊し得て別を送る)」には
離離原上草 離離たる 原上の草
一歳一枯栄 一歳に一たび枯栄す
野火焼不尽 野火焼けども尽きず
春風吹又生 春風吹いて又生ず
という有名なくだりがある
もちろん
この後に続くところが
また
いいのだ
遠芳侵古道 遠芳古道を侵し
晴翠接荒城 晴翠荒城に接す
又送王孫去 又王孫の去るを送る
萋萋満別情 萋萋として別情満つ
とりあえず
ちょっと堅めに
こう訳しておいたら
いいのか
青々と繁る草原の草は
毎年ひとたび枯れひとたび繁る
野火が焼いても尽きず
春風が吹けばまた生える
草はいま遥かな古道まで延び
みどり美しく荒城まで続いている
遠く旅立つ王孫を見送る
わが別情も春草さながらに繁っている*
けれども
現代の日本の
こんな詠みっぷりも
春風らしくて
いいものだと思う
ドア開いてゐれば出て見る春の風
稲畑汀子の句だが
今年の
2月27日だったか
作者は亡くなった
と聞いた
*この詩を書いた時、白楽天はまだ若く無名だったので、詩中の「
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