住んでいるビルの廊下の
あちこちでも
立ち止まってみるようになった
壁ぞいに立ち止まって
通路側を向いて
むこうの壁を見つめながら
しばらく
立っていてみる
歩いて通過していく際には
ふつう
だれもそんなことはしない
だからこそ
そんなことをすることで
わたくしは
経験を人類知に収穫するのだ
しだいに
通路が折れるところが
いちばん立ち甲斐がある
とわかってきた
直角に通路の折れるところで
しばらく立っていてみる
通路の二方向が
むこうまで
容易に見わたせる
人間を観察したがる霊ならば
この場所を好むだろう
角場所というものが
ある種の霊に関係する理由が
実感される
もっとも
立ってみればわかるが
角というのは
こちらの力も吸われる
霊とはべつの力学が働いていて
よほど強い霊でないと
逆に霊のほうが弱まってしまう
それにくらべ
ふつうの壁のどこかに立つと
逆に安定と力が来ることが多い
おそらく霊たちも
ふつうの壁のどこかを背にして
立っていたく思うだろう
霊とからだを重ねたければ
ふつうの壁ぎわに立つほうがよい
こんなふうにして
あちこちに立ってみる
立ち止まり続けてみると
この世は
どこも
わたくしの場所
場所たちよ
おまえたちを
わたくしは
愛する
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