因果一如
白隠
ある程度の年齢をこえると
だれの生も
次に生まれ変わってくる来世にとっての
前世になる
そう考えると
歳をとってきたから
あとはもうどうでもよい
適当に楽しんで
生き続けられるところまで行くさ
とも言っていられなくなる
来ては去っていく
日々のひとつひとつが
前世の最後のほうの日々だとすれば
むしろ逆に
よほど真剣に
注意深く
繊細に生きておかないと
来世はたぶん
ろくなことにならない
なかなか克服できなかったことは
少しでも乗り越えるように努め
細かな掃除や
生活全般のあれこれも
貴重な修行として大事に行ない
身につかなかった勉強なども
ちょっとでも基礎固めをし直しておきたい
そうでないと
来世の通信簿に赤点が並びかねない
思い出されるのは
眠れる預言者と呼ばれた
エドガー・ケイシーの挿話のひとつだ
ケイシーはある人物に相談を受けたが
ふつうの勤め人であるその人は
なぜだかアメリカ建国の頃のことに
あまりに猛烈な興味があって
調べたり学び続けていた
将来学者になるつもりも可能性もなく
本を書こうという思いさえない
ただとにかくアメリカ建国のあれこれが知りたい
あらゆる観点からの観察や調査に
熾烈な関心が湧き続けて抑えられない
彼はケイシーにどうしたらいいか?
いくら調べたり学んだところで
この人生ではどうにもならないはずだし
ただ読書やメモに時間を費やすばかりで
もっと他のこともいろいろとやって
人生を豊かに楽しむようにすべきではないか
そう思うのだがどうしようもないのです
と悩みを打ち明けたのだった
ケイシーの答えがおもしろかった
今のままどんどん調べ続け学び続けなさい
なぜならあなたは次の人生で
アメリカ建国の時代に生まれることになり
極めて重大な役割を演じるはずだからです
その人は驚いてケイシーを見つめ
なにをおっしゃるんです?
アメリカ建国の時代は過去の時代ですよ
過去へと生まれるはずはないし
もうすべては終わってしまっているじゃないですか?
建国の結果としての現代があり
わたしもあなたもここにいるではないですか?
そう聞き返した
ケイシーはそれを否定して
いいえ過去へと生まれて
そこで役割を担うということがあるのです
なかなかわかりづらいかもしれませんが
現代に生きているこのあなたが
いろいろと今学んでいることを携えて
アメリカ建国の時代へと生まれることで
じつははじめてアメリカ建国が可能となるのです
アメリカ建国はあなたに掛かっており
あなたが今学んでいる多くのことに掛かっているのです
あなたが調べたり学んだりしないと
アメリカは建国されないのですよ
と伝えた
ふつうの時間概念を完全に覆す
こうしたケイシーの理論はなかなか実感できないが
霊能者の見地からはありふれたことであった
だから湧き上がってくる熾烈な興味に従って
どんどん建国の時代のことを学びなさい
本一冊さえ書き残さないでいいから
学んだあらゆることを魂に刻んで
アメリカの建国を引き起こすように努めなさい
あなたがやらないとこの現代のわたしたちも
存在できなくなってしまうのです
ここのところはわかりづらいでしょうが
そういうふうに出来ているのです
歴史の重要な礎石のひとつがあなたなのです
ケイシーはこう言って
この人の学びを励ました
ということは
ケイシーが励まし
その人の生涯を掛けた学びを遂行させたからこそ
アメリカは建国された
ということでもある