2023年7月4日火曜日

あこがれの月の名、七月

 

 

子供の頃

七月というのは

耳にするだけでうれしくなるような

あこがれの月の名だった

 

七月になった

七月になった

というだけでうれしくて

なんだか

すべてのもののなかでの最高の時を

いよいよ生きていくのだ

とわくわくした

 

なんといっても

まだ

夏の王者

八月になってさえいない

まだまだ

一年のうちの最高の時は続く

そのはじまりにあたって

ここから王国が始まるのだ

という思いがした

 

七夕が来る前の楽しさといったら!

近所の野山で笹を取って持ってきなさい

と学校では言われ

色とりどりの短冊も作り

今年は織姫と彦星は会えるだろうかと

まだ雨の日の多い夜空を

たびたび見上げたり

てるてる坊主を

やっぱり作ろうかと思ってみたり

 

学校の授業も

先生の教え方がなんとなく

いつもと違って

ちょっと楽な感じになってきたり

花壇でも夏の花が蕾を大きくし始め

通学路のわきの金網では

もういっぱいに

昼顔が咲くようになっていて

 

そうして

蝉の声が日々増えていって

学校が休みに入ったら

いっぱい捕まえるぞと思って

汗を掻きながら寝入るのだ

まだ若い夏ならではの夜の色に

身もこころも包まれながら





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