2023年7月26日水曜日

今でももっと激しくますます激しく

 

 

子どものころから

夏はだいたいどこでも楽しかったが

どこに引っ越して住んでも楽しい感じだったのは

窓から外をながめて

空が青かったり

入道雲がわいてきたり

木々や草のみどりがうんざりするほど濃かったりするのが

楽しくてしょうがなく見えたから

 

名所や避暑地でなくても

夏の空や雲や

雑草や雑木林のみどりというのは

ぼーっと見ているだけで楽しいので

ぼくの場合困ったり飽きたりするということがない

困るのはむしろ

それらから目が離せなくなってしまうことで

やらなければならない夏の宿題とか

手伝いとか買い物とか

昼寝だとかを

ともすれば

しなくなってしまうことだった

 

暑くて汗が出て

ほんと

イヤになる

なんて思ったりもしたが

そう思うのは

大人がそういうのをさんざん聞かされるのを

じぶんの中に録音してしまっているのが

再生されてくるからに過ぎない

ともわかっていた

つまりじぶん自身の思いではなく

夏は暑くて暑いのはイヤなものだと思うのがふつうだ

という洗脳だと

ぼくの奥底ではわかっていた

 

ぼく以外の連中は

せいぜい

勝手に暑がって

イヤがってろ!

とぼくは思っていたし

今でも思っている

 

子どものころに

かんかん照りの日中に

原っぱを駆けまわってバッタや蝶を追い続け

雑木林でカナブンやクワガタや

クヌギの根っこを掘ってカブトムシを探し続けたように

ぼくはこの真夏の地球で

たったひとりで

バッタや蝶やカナブンやクワガタやカブトムシ的なものを

忙しく追い続けている

 

ぼく以外の連中は

せいぜい

勝手に暑がって

イヤがってろ!

今でも

もっと激しく

ますます激しく

思っている





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