大楽必易 大礼必簡

 

 

 

大楽必易

大礼必簡

 

と

司馬遷は

記したそうだが

どこに

書いてあるのだろう？

 

すぐれた音楽はかならず平易であり

すぐれた礼節はかならず簡略なもの

 

といった

意味らしいが

世の中では

おのずとそうなっていくのだから

真理かもしれない

 

複雑な礼節や

複雑な音楽には

エゴや

支配欲や

階級差の創出と固定の欲望が

べっとりと

入り込んでいる

 

聖人の静けさ

これは

静かなのが善だから

というわけでなく

彼のこころをかき乱すほどのものは

なにもないから

静かなのである

 

聖人之静也

非曰静也善故静也

萬物無足以鐃心者故静也

 

これは『荘子』天道篇第十三

 

人界には

こころをかき乱すための

礼節があったり

音楽があったりする

 

もちろん

人界の境から

その外へ洩れ出ることはないので

ひとしきり

麗々しく

ご大層に

勝手に

やらせておけばいいのでは

ある

 

骨になっても

そんな礼節や音楽を

続けていられるわけでも

あるまいから