世間

世間とはむりに付きあわなくていい

来るべきものはどれも偶然に到来する

どうでもいい偶然としか見えなかったものでも

たくさんの偶然の中から奇妙に芽ばえて

ふしぎにぐんぐんと伸びていく関わりがある

むりに芽を出させようとしても

どこかでピチンと切れてしまったり

なぜだか腐ってしまう関わりはとても多い

けれど放っておいても丈夫に伸びていく関わりもある

千にいくつかのそんな関わりで十分じゃないか

偶然が偶然でなくなってじぶんの運命になって

精神の一部ばかりか血や肉のようにもなって

世間はどうやらたゞの無意味な厄介事ばかりでもない

ふしぎな素材のごった煮になったスープだったとも

老いてから思えるぐらいになっていれば

それだけでももう十分じゃないのか