2016年3月26日土曜日

あれがお前か?



ふと気づき直す

そうして

本当は
恐ろしいほど孤独なのだと
自分の姿を
思い描き直す

同じ方向へと
考えも
感情も
併走できる人は
たったひとりさえ
もういない

かつては
いたとでも…?

あやしい

いるように
思っていただけで

ともかくも
もう
終わりまで
たったひとりで
時間と空間の中に
居続けよう
そうは
思う

それでさえ
偽りに
満ちている
自分
というものとさえ
ろくに
併走できたためしがないから

他の部屋に
行くのにさえ
孤絶の体を
ヒョコヒョコと運ぶ
ふつうに
しっかり歩いているつもりでも
ヒョコヒョコ
しているのかもしれない
と思う

廊下の奥の大鏡に
ひとりで立っている人体が
写っている

あれがお前か?

あれがお前か?

桜が一斉に咲き乱れる前の
うすら寒い
暗い空気の中で

たった
ひとりで

あれがお前か?




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