2020年6月3日水曜日

持続経験の慎ましい伴侶よ


  
蒔いていないところからも朝顔の芽は出て
双葉が開いたと思ううちにいつのまにか本葉も出始めて
移し替えなければと思いながらも忙しさにかまけ
なかなか小さなシャベルを探し出して作業することができないでい

ほんとうの夏の暑さに早朝から浸っているような今日
ようやっと決意して朝顔の移し替えの作業をし
ついでに鉢の裏や隙間に溜まっていた枯葉や枯れ落ちた薔薇の花弁
箒で掃き集めてある程度掃き清めることができた

こんもりと集まった枯葉や薔薇の花弁の中に
昨年の晩夏にヴェランダで死んでいたアブラゼミの遺骸もあったが
これは柵の淵に置いて自然に風でどこかに飛ばされるのを待っていた死骸
何度やっても吹き戻されてしまうので柵の内側に放り出しておいた

いつまで経ってもヴェランダの内側に居座るアブラゼミの遺骸は
気持ちの中ではいつのまにかヴェランダの守り神のようになり
オリーブの木の下に居る時もあればコンクリートの床に居る時もあって
いつまでも朽ちない固い殻にしばしの持続の物質化を見るようだっ

にもかかわらず世の中と関ずらわる忙しさにいつのまにか
この持続のしばしの権化への注視も怠るようになってしまい
枯葉や薔薇の花弁の中に埋もれてしまったのさえ忘れてしまっていた!
さようなら! 永遠に! 半年ばかりの地上での持続経験の慎ましい伴侶よ






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