2021年1月11日月曜日

入学前の春さきのながい休みを

 

 

1月に入ると

もう

春だと思うたちなので

春だ春だと

ひとりで

もう

はしゃいでいる

 

もっとも春だった春は

いつだったかな

と思いをめぐらすと

1になる春だったかと

やっぱり思う

 

中学校というのは

小学校とはぜんぜん違うところで

とにかく大変なのだと

まわりから言い含められていて

そうか大変なのか

ついて行けるのかなあ

どうしようかなあ

などと気持ちは焦って

その頃よく売れていた

雑誌の「中1時代」なんかを

定期購読しちゃって

雑誌からのお祝い!の

パイロットの万年筆なんか貰っちゃって

はじめて手にした

インクの書き味ってのを

すげえなあ!とか思っちゃって

でも紙の上でひっかかる時あるなあ

とちょっと面倒にもなっちゃって

基本語ばかりの英和辞典の

プレゼントもためつすがめつ

あっち開いたりこっち開いたりして

こんなの頭に入るんだろうか

と圧倒される感じになっちゃって

 

入学の前の春さきのながい休み

家から出ると野原や森や林を

あちこちほっつき歩いて

春の芽生えの草木を見たり

蝶のサナギを見つけたり

クヌギ林を掘って幼虫をさがしたり

小学校のときのまんまの

時間つぶしをして過ごしたように

記憶しているんだが

 

あゝ おんなじまんまだ

いまも春さきになって

家から出ると野原や森や林を

あちこちほっつき歩いて

春の芽生えの草木を見たりしている

からだを捨ててのあの世への

入学前の春さきのながい休みを





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