2021年1月5日火曜日

トレーニングだけ


  

だいたいのものなら

どんなテーマでも扱えるような文体を

まずはある程度鍛え上げようともくろんで

最初のうちは文章形式を

途中からは自由詩形式をおもに使って

トレーニングし続けてきた

 

してきたのは

トレーニングだけだから

ぼくは

いまだになにひとつ書いたことがない

 

トレーニングだけの

つかの間の人生だったと

死の間際には

簡潔にまとめてもいい

 

しているのはトレーニングだけ

と認識しながら

そこそこの社会的自我を保ち続けるってのは

これはこれで

けっこうな芸当なんだぜ

 

こんなふうなのは

ぼくだけだろうと思っていたら

何十年も前

レイモン・クノーの『文体練習』を見つけて

あれま!

似たようなことを考えるやつも

いるもんだね

世の中には

と驚いたこともある

しかも

先を越されちゃってたしね

 

でも

クノーの詩って

つまんないぜ

彼の詩集

ぜんぶ読み通したやつって

いるのかなあ?





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