2021年5月25日火曜日

走馬灯のように

 

  

机に向かっていたら眠くなって

夕暮れ

机の上に脚を載せて

椅子に深く身を倒してすこし眠ったのだが

ちょっと不思議な眠りようで

今回の人生のすべてが

なんだか

走馬灯のようにめぐって

一覧できてしまった気がした

 

とりあえずは記してみながら

走馬灯のように

という紋切り型の表現に

やはり

われながら

ピンと来ない

これで済めば楽なのだが

馴染んでいないので

済まないのだ

プルーストなら使ったかもしれないが

今ではもう使えない

だいたい

あの人は日本の水中花なんかも比喩に使っていたが

日本人でありながら

水中花をまったく見たことがない頃に

プルーストのあの描写を読んだものだから

なんだか逆輸入みたいで

変な感じだった

 

走馬灯だが

だいたい

走馬灯というものも

ほとんど見たことがないので

紋切り型にせよ

たとえとして使いようがない気がする

 

たぶん

一度か二度

子供の頃に見たことがある気がするが

そうか

これが走馬灯っていうのかと

ずいぶん意識して

眺めたのではなかったか

 

ひとこと

走馬灯のように

で済めば

ずいぶん楽なのだが

こういう表現というのも

表現の命に限りがあり

使おうとするこちらよりも

とうに命運尽きているような気がする

 

今どきなら

スマホのSNSのタイムラインを

くるくる遡る時のあの感じのほうが

ふさわしいかもしれない




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