2021年5月8日土曜日

さっきまで暖かかったのに

 


さっきまで暖かかったのに

日の暮れが近づくと涼しくなってきて

肌寒く感じるほどのそよ風さえ

腕にうなじに吹きよせてくるようになった

そっと恐怖を目覚めさせるその肌寒さは

たえず個のわたしのありようを脅かそうとし

わずかに作りあげてみた堡塁や

城の土台さえも崩そうとする

波のような斯界のつねなる運動のようだ

親しんできた環境も最良ではなかったとはいえ

それでも長く浸かっていれば馴染みもし

ふり返れば懐かしくもなるのだから

それらの崩壊の時の来るのはやはりせつないが

やさしく音も立てずに吹きよせる

この肌寒さはまさに予兆ではないか!

終わろうとするものがまだ終わっていない時の

なんというやさしい細かなさざ波のはじまり

まさにそうした予兆の吹きよせではないか?





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