2021年5月23日日曜日

いつのまにか


 

いつのまにか春だ

と思っていると

いつのまにか初夏だ

となっている

なんでも

かんでも

いつのまにか

なのだ

 

きっと

いつのまにか

与えられた時間は尽きて

手持ちのエネルギーも尽きて

こんなことを思う意識も

みごとな手品のように

なくなってしまうのだろう

 

そうして

なにもないということが

なにもないという自覚もなしに

なにもないままでいるうちに

いつのまにか

また意識が生じたり

しているのかもしれない

 

意識にしても

もないということにしても

いつのまにかということの

秘密は

いつまで立ってもわからずじまい

その秘密が知りたいならば

だから

まったく違うことを

してみるほかないんだよ

 

いつのまにかということに

つきあうのを

やめる瞬間というのは

たぶん

いつのまにか

来るものではないから

 

まったくべつのものが下りてきて

べつの発火が起こり

いつのまにかということに

馴染みすぎてきたものたちは

まったく違うものになる

 

ようやく

なる

のではない

べつのものになると

それまでの時間も過去も記憶も堆積も

すべて

べつのものに

変わってしまうから





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