2021年5月28日金曜日

わるいけどね そろそろ

   

街の音だって

せせらぎ

 

車のひっきりなしの音も

どこかの校庭で

笛を鳴らしている音も

工事の遠い響きも

 

わたしはわたしに必要なすべてを持っている

さらになにが来ても

なにかを手放しても

それらはもう増減しない

 

海や山や湖や草原の風景を求めたこともあった

 

もう求めなくてもいい

それらを目のあたりにして見続けていても

かなり前からそれらが染み込んで来なくなっているのを

わたしははっきりと感じていた

 

きれいなところね

と言われて

きれいなところだね

と返しながら

大きな壁に描いたペンキ絵にしか感じない

 

もっと美しい

いちいちの空気や温度や湿り気が

ひしひし

ぴちぴちと

わたしに浸透してくる

海や山や湖や草原の風景はわたしの

中というより

わたし

ぴったりと密着して

在って

わるいけど

わたし

もう

地球の海や山や湖や草原の風景

いらない

 

わるいけどね

 

そろそろ

ほんと

こと

言っちゃっていく




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