いまでさえ
過ぎ去ったことばかりでなく
一瞬一瞬のすべてが
なつかしく
見えるのだから
もうちょっと歳をとったら
なつかしい
なつかしい
あれも
なつかしい
これも
なつかしい
と言いながら
さらに
歳をとっていくだろう
死んで
棺に入れられても
なつかしい
なつかしい
焼かれるときも
なつかしい
なつかしい
骨になっても
なつかしい
なつかしい
と言い続けるだろう
そうして
なつかしい
なつかしい
と言い続けてきたことも
なつかしい
なつかしい
と
ただ
ふり返るほかないものとなり
やがては
なつかしい
なつかしい
と言い続けてきた思いも
ふり返るほかなくなったものも
ついには
あふれ出て止まらぬ泉のようなものとなって
そこから湧き出す泉の水は
流れていくだろう
なつかしい
なつかしい
あれも
なつかしい
これも
なつかしい
と
まだ
すべてをふり返らない人たちのほうへ
過ぎ去ったことばかりでなく
いまの
一瞬一瞬のすべてが
まだ
なつかしい
なつかしい
と
見えない人たちのほうへ
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