気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
「(…)この種の状況では、楽観的な想定は危険なのよ。小動物が巣穴を作るときに採用する、脱出定理なのよ。そうした動物は、賢明ならば自分の巣穴に二番目の出口を作っておくわ。それは最初の出入り口が、捕食動物に見つかるだろうという悲観的な想定に基づいた行動よ。この定理を使わなかった生き物はすべて、もはやこの世にはいないわ」*
人間の世界では
「捕食動物」は
たいてい他の人間として現われるが
制度や
状況や
時代として現われることもある
知や
情報や
慣習
または習慣として現われることも
善意や
情や
思いやりや
合理性などとして現われることもあって
この場合には
なかなか
手強い
運命や
宿命などと
呼び慣わしていた時代は
まだまだ
のんびりしていたものだった
*フィリップ・K・ディック『聖なる侵入』(山形浩生訳)
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