2023年5月30日火曜日

ずっと見つめていたのだ!

 

 

見られていたのだ!私は!

ジェラール・ド・ネルヴァル『オーレリア』

 

 

 

石も

古びたビルも

役割の終わった段ボールも

見つめていると

見飽きない

 

しかし

いつまでも見つめているわけにもいかないので

どこかの時点で

見つめるのをやめる

 

見つめるのをやめた時点の後の

石も

古びたビルも

役割の終わった段ボールも

あり続けている(はず)なのに

(もう)

わたしの意識世界に(は)

あり続け(なくな)る

 

何度も

何度も

こんなさびしさに貫かれたので

見つめることと

見つめないことは

ようするに

等価だと

思うようになった

 

わたしが

いま

見つめていないものたちよ!

見つめたことのなかったものたちよ!

 

だから

わたしは

ずっと見つめていたのだ!

 

 



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