2024年1月18日木曜日

ヤチマタ神社でも待ちます


 

 

納得と説得に絡みとられた言葉が嫌いなので

ヤチマタ神社に行く

 

行くが詣でるわけではない

赤い旗が風もないのにひらひらしている角っこを曲がろうとすると

ぼくはズボンに穴を敷いていたからクシャミをする

 

オレンジ色のブルーがあるでしょ?

 

車だってザンザン ユーカリだってワンワン

 

わかる峠

信じ込んでる国道20954号 わきで待ちます 来てね

来てね 

     ヤチマタ神社でも待ちます

来てね 

               来ないと恐いわよ

 

寄せては帰す波

とよく言うけれど「かえす」ってこの場合「帰す」でいいのか

それとも「返す」か

 

     ヤチマタ神社でも待ちます

 

べっとりと唾を塗りたくる子でしたね、熊野順!

算数のノートの表紙にまでべっとり

家庭科の教科書にだけべっとりさせなかったのは春だったから

春の嵐だったから

桜の花

みんな散らしちゃうんだから

 

     ヤチマタ神社でも待ちます

 

でも終わりは来る

たしかに終わりは来る

世田谷には江戸時代の空気がいまでも濃厚に漂っている

日も暮れるとさびしくってねえ

この世ってなんてさびしいんだろうって思って石なんか蹴っちゃっ

世田谷線が通り過ぎるまで潰れた酒屋さんの前で待っていました

会わねばならない人がいた! あの頃は! さびしくっても!

豪雨の前であろうとも!

 

     ヤチマタ神社でも待ちます

 

桃を買っていきます

ふだんはじぶん用には買わないようないい桃を

雑草が雑草に寄りそって初夏の風をすこし受けているけれど

寄りそっている雑草A

寄りそわれている雑草B

名前を知らないものだからリアリティーのちょっと欠けた現実なんです

 

     ヤチマタ神社でも待ちます

 

来てね 

 

行くよ

 

来てね 行くよ

来てね 行くよ 行くよ 行くよ 行くよ

 

買い食いに

焼き鳥

一本

間口のすごく狭い店にオジサンが立って焼いていた焼き鳥を一本

買うのが楽しみで

友だちと小学校の帰りに商店街にまでわざわざ道草した

 

身を立て

名を成し

なお励めよ

なんて歌があったが

焼き鳥屋のオジサンは身を立てたことになるのか

ならないのか

名を成したことになるのか

ならないのか

どっちにしても励んでいたのは事実だな

いつもいつも焼き鳥を焼いていたし

子どものぼくらにも丁寧だった

 

     ヤチマタ神社でも待ちます

 

来てね 

 

紫のスポーツカーで行くんだ

ちょっと

見かけない感じだよ

いいだろ

 

いいぞ

 

寄りそっている雑草A

寄りそわれている雑草B

 

身を立て

名を成し

なお励めよ

 

いざ

さらば

 

いまこそわかれ目

 

いざ

さらば






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