いてもいない

 

 

愛が何物でもないが故に

愛は

万物にとらわれることなく自由であり

唯一の善であって

それが何であるかを語ることはできない

しかし

愛を見出すものはすべてを見出す

愛は万物のはじまりだったのであり

すべてを統治している

愛を見出すとき

おまえは

万物が出てくる底

万物の在る底へと入っていく

おまえは愛において

神の創ったものすべての王となる

ヤーコブ・ベーメ 『超感覚的な生命をめぐる対話』

 

 

 

 

 

ごめんね

ほんとうは

ぼく

いても

いないんだよ

 

そう言いたいときが

むかしは

いっぱいあったが

だんだんと

言いたくもなくなった

 

ぼく

が

いても

いなくても

ひとには

どうでもいいこと

 

いるように

ひとに

見えてさえすれば

 

見えてさえすれば

という

その見えかたが

見えてないってことなんだよ

と

ほんとうは

言いたいけれど

言わない

いまは

よけいに

 

あなたたち

ほとんど

いないんだよ

生きていないんだよ

とも

言わない