世の中は変わった
ずいぶん変わってしまった
というが
それほど変わってもいないところも
あるので
この道を行けば
ちゃんとあの駅に着くし
あの小径を抜ければ
小川が
まだある
小川ぞいに行けば
そう広くない墓地も
いまだに
そう広くないまま
ある
いつのまにか
音信のなくなっていったひとたちや
死んでいったひとたちと
また
ひょいと出会って
いっしょに
この道を歩いて行ったりしたい
どうでもいいことをしゃべりながら
あの小径を抜けて
そう広くない墓地へ出て
触れると冷たい
四つ葉を
数本摘んでみたりしながら
そういえば
以前会ってから
こんなこともあったとか
しゃべってみたい
そんなことは
絶対に
起こりようもなく
広大無辺といわれる無限の宇宙にあってさえ
二度とくりかえされることもない
とは知っているが
すぐにでも
ひょんなことから起こりそうな気がして
ぼくは見まわしてみる
この道に
ちょっと立ち止まって
あれらみんな
どこから投影された幻灯だったのだろう?
と
いぶかりながら
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