2012年9月10日月曜日

2003年3月1日、雨の夜に

   (ブッシュ政権がイラクを攻撃すると言っているのを聞いている それに反対する人たちが世界に増えたらしいとも聞いている 反対する人たちは武力に訴えずに反対表明をし続けようとしていて ブッシュ政権はそれでも攻撃をすると言っていると聞いている 日本人はどんな時でも本気では動かないとぼくは思っている 日本では動いたら損をするという風土だから 欧米の核兵器はどうして許されたままなのかなと不快に思っていて ああ本当の敵という言い方をするならば どこもかしこも ああ本当の敵ばかりで 四面楚歌というやつだな どうしようもないな 困ったなと思いながら それを長い副題にして2003年3月1日の雨の今夜 書きとめようとしている短いこんな言葉 4日に渋谷Seco Barで開かれるPOETS AGAINST THE WARに行こうか止めようかと考えながら書きとめようとしているこんな言葉―――)



寝ている親しいひとたちの顔からは
苦労もたのしみも剥がれ落ちてしまって 
ときどき 
空へひらいた白い石のよう
静かだ

死んだひとたちの顔が よく
それを真似る
静かだ

ほんとうに困ってしまったときには
世界をしっかり見つめられず
目はすこし上へ
すこしだけ上へ泳ぐ
まぶたは しかめられて
まるで まぶしすぎるよう

空へ
苦労もたのしみも落としてひらく
白い石の
静かな顔を見ない日はあるけれど

目はすこし上へ
すこしだけ上へ泳ぎ
まぶたは しかめられて
まるで まぶしすぎるよう

まるで まぶしすぎるよう


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