2012年9月7日金曜日

八月歌(五)

  

八月二十六日

19世紀半ばに生れし〈芸術〉は1970年代消えたりとマルロー

マルロー言ふ「死そのものと事象が関はる仕方」亦それへの「意志」が〈芸術〉なりと

夜通して痴話口論の聞こえ来ることさへ夏の終はる遠祭

若きらの詩文はむなし生性病老超へてなほも書く者は稀

古典渉猟せぬ者ら群れて褒めあひて詩人で御座い歌人で御座い

またひとり四十のガン死の報せ来る闘病一年五歳の子ありと

初就職の大企業での初仕事は得意先への娼婦発注なりき

「主たる収入先」はヤクザに関はる職場にて二十五年ほどは悲喜劇見たり

教へ子に暴力団の若頭の愛人もゐるが情の厚き娘

会者定離会者定離とぞ吹きすさぶ浜に棄つべきなにかまだ在る

能歌舞伎浪漫主義の雑談もできぬ御仁なれど猥談巧み

高次元劣情といふべきものありて「四畳半襖の下張り」瞠目すべし

好きな女のタイプを聞かれ「みなさん」と答へし石川淳の粋ぶり

三十五年経し元カノは美しき娘ふたり持ちてブルターニュに居り

痴情極めし女も五子の母となりてバースデーカード毎年送り来

若き日の短歌結社は乱交の園にありしよ新宿渋谷

黒人ジョンも逝きしよペニス47センチの黒き巨魁の優しき男

現代詩詩人おほかた精神疾患にてまあそこそこに褒めておくべし

文学者のなかでも自己チュー極まるは俳人らなり断言性馬鹿

歌人らは最も紳士的にしてわきまへもあるが秘めたる狂気

いまは亡き老クロードはアルジェリア戦時処刑班にて兵役始めき

みづからの手にて五百は殺したる海兵隊退役軍人と飲みし夜もあり

虐殺の後の死体は静かにて目を閉じゐたりただ脳が開く

子供らの累々の死骸顎が飛び頭ぱつくり開きしも多し

人は人をどこまで如何にいたぶりて殺し尽くすかなほ飽かず見る

経済戦社会戦もあり偶々に死にそびれゐるわれらと思へ

韓国の妄言に口をつぐみたるサヨクの輩なんとか言へよ

馬鹿ウヨクもおほかたは在日連中かネトウヨといふ暇なやつらが

どいつもこいつも卑しき小金稼ぎの目過剰敬語のやから醜し

パレスチナにも原発事故にも意見持たぬ人びとの園を大学と呼ぶ

生きてゐるつもりの人ら姦しくみな同じ顔みな平成人

現代の映画に求め得ぬものの溢れたる小林正樹「切腹」

慰安婦の強制連行なかつたといふ論を読みて反論も読む

恐ろしきカルトはオウムにあらずして被災地復興に深く入り込みをり

小泉純一郎講演費一千万也あれを呼ぶ馬鹿がまだゐる陸続とゐる

ジャコバン派だと言つてゐるだろ皇居前にギロチン台をはやく立てよう

こまごまと人の話をいつも聞く使へる駒かと考へながら

以上フィクション埒もなき書き散らしにて秋爽来たり

韓流ドラマ除くビデオ屋出始めてをり何事も商売にして

世界とは蒙昧狂気の煮込み鍋濃淡のちがひあるのみにして



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