2012年9月5日水曜日

八月歌(三)



八月二十日

小島てふものは昼寝に行くものにして旗立てに行くものならず

反日デモ見ながら俺は「日」だろか?と考へてみる   やはり違うな

反日デモに乗り込んで自説堂々と主張して来い慎太郎めが!

「朝鮮」と「支那」をながなが踏みつけた報いは簡単には解けまいよ

こんなとき気を昂ぶらせ愛国を歌にしたろう斎藤茂吉

紅旗征戎わが事にあらずわが敵は国内にありこの数十年

暑ければショスタコーヴィチ   ザンデルリンク指揮15番あたり

韓国の友中国の友と連れ立つて九月はスコットランド周遊

八月二十三日

現象学的他者論空転 階段を上る女高生はしきりに隠す

朝まだき処暑の山下公園にまた夜を明かしてジョナサンの粥

「無数の多への偶然の邂逅に開かれた」と「ディストリビュエ」を解すも愉し

愛欲の朝昼晩もなきにあらず 遠きヨットの帆よわが心の帆

日中韓は和する他なしアメリカの永代支配に与する勿れ

わが詩歌は某国内では禁止されゐるらしこれも光栄のうち

Scribner版なにか嬉しくヘミングウェイやや大きなる字こそ合ふらし

コープマンのレクイエムやはり物足らずコルボやクリスティにも劣るめり

ホグウッド〈モーツアルト交響曲全集〉買はず帰路   愚行ならむか特価なりしを

フェルメールよりツタンカーメンに長蛇の列できる猛暑よクレンペラー聴く

福島名物ますます多しアイナメと桃のセシウム和へなども美味

ベニスならぬシリアに死すと聞き及ぶ トーキョーよりはマシではないか

とにかくも葬送曲は鳴り止まずマーラー5番 バルビローリの

晩夏光パウル•ツェランのGedichtに射す昼下がり蕨餅食ふ

フランソワーズ•サガン伝厚き数冊を今日も開かずサロートを読む

ラルース小仏仏38000語のみで済ましたき時も多くて晩夏の読書

さういへば二十三日八月の今日は祖父秀松の三十三回忌

アレッポの石鹸愛せしバト•シェバの西瓜のごとき乳房なつかし

詩は絶対自由を求め群れを嫌ひ誰にもついて行かぬ者より

ミシシッピ川いよよ激しき旱魃に物流もつひに止まれりといふ





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