2016年2月18日木曜日

波ともいえないほどの波が



穏やかだが
小さくひたひたと
波ともいえないほどの波が
水面に接した板敷きに
打ち寄せ続ける宿
その寝室に
窓も開け放ったまま
一晩を過ごしてみると
もう
どこかのせせこましい小国の
首都やその他で
なにかの仕事や
事務や金勘定をしていたことも
すっかり
身から蒸発し去って

ものを思うのに
使う言葉ももう違うし
考えるのに
用いる観念もすっかり違って
どこか
頭の隅や心の奥に
抱えてきていたものなど
もはや何もの
すっかり払って
異国人どころか
異星人のようになって
そろそろ
寝床から身を起こそうかという
頃あい



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