2016年2月6日土曜日

オッと!



われわれは『アンチ・オイディプス』を二人で書いた。
二人それぞれが数人だったのだから、それだけでもう多数になっていた。
    ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『千のプラトー』

  


湯に浸かっていると
思いがいろいろ
ふるえたり
ふくらんだり
離れて行ったり
戻ってきたり

まったく
大きな催しや
祭りかなにかのよう

じっさい
思い、っていうやつは…

ふつうの一日を送るさえ
あれもしなきゃ
これも進めなきゃ
片づけなきゃと
いくつもの思いの線が
いっしょに流れ
混線し
交差し
離れ
どこかに
隠れ込んだり

それらをしっかり
ひとつひとつ把握し切って
手綱を取るように
緩急つけて
…オッと!
そんなことをする必要は
じつはない

大きな催しの
総監督のように
思いのひとつひとつに
思いのまま
勝手な動きをさせて
手綱を取ろうとなどせず
全体でいっそう盛り上がるように
元気が出るように
あおり続けていれば
本当はいい

ふるえたり
ふくらんだり
離れて行ったり
戻ってきたり
そんな思いのひとつひとつを
つぶさに見過ぎる必要もなければ
手綱を取ろうとし過ぎる必要も
ぜんぜんない
思いたちひとつひとつに
任せておけばいい

ひとりの人は
はじめから
たくさんの者の集まり
管理や支配なんか
やり過ぎてはいけない
じぶんの中の思いたちさえ
好き勝手にやらせておく
そこから自然にできてくる
来るべき束の間の秩序をこそ
自我とも呼び
主体とも呼ぶことに
したらいい
しかるべき時期が来れば
軽々と捨てられ
ふさわしい次のものに換えられる
そんな程度のものとして
仮設キャンプとして





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