2019年12月22日日曜日

生きるってこういう感覚じゃなかったかな



猫も杓子もスマホを持っているご時世柄
ぼくも猫や杓子のたぐいなのでスマホを持って楽しんでいるが
こないだ持って出るのを忘れてしまったら
ずいぶんアタマがすっきりして気持ちいい一日となった

驚いた

スマホを見ながら車を運転しちゃいけないというが
スマホを気にしながら一日という乗り物を運転するのも
だいじょぶな気でいながらやっぱりひどくよくないことらしい
目の前に青い空が広がっていたり
いろいろな木々や草が生えている原っぱに出たりしても
スマホを持っているとメールが来たんじゃないかと思ったり
LINEにだれかメッセージしてきたんじゃないかと思ったり
ひょっとして大事件がどこかで起こってニュースになってんじゃないかとか
あの古い歌謡曲のあのあたりをちょっと聞き返したいなと思ったり
たったひとつの薄っぺらい端末ひとつ持ち歩いているだけで
ずいぶんと落ち着かない心持ちになってしまう

ところが家にこいつを忘れてきちゃってみなさいな
なにがどう気になったって見ようがないんだから
もうすっからかんに手ぶらな心になって歩いて行くしかない
これが驚くほど心もアタマも軽くし連動して身も軽くなる
なんだか心臓やからだの節々にひさしぶりに血が温かく行きわたり
目だって額の裏の脳のあたりだって温かくなったように感じた

けっきょく猫や杓子のたぐいのぼくなんかは
スマホなんか持ち歩かないで髭やシッポだけちょんちょんさせて
大空を見上げたりあちこちの隅っこや電信柱の裏なんか見たりして
なんか面白いもの落ちてないかなとか思いながら歩いたほうがいいらしい
いろいろに分裂してたじぶんがひさしぶりに合わさった感じで
生きるってこういう感覚じゃなかったかなって思っちゃったぐらい




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