2019年12月17日火曜日

Vive!定型詩!



十二月また來れり。
なんぞこの冬の寒きや。
去年はアパートの五階に住み
荒漠たる洋室の中
壁に寢臺(べっど)を寄せてさびしく眠れり。
わが思惟するものは何ぞや
すでに人生の虚妄に疲れて
今も尚家畜の如くに飢ゑたるかな。
我れは何物をも喪失せず
また一切を失ひ盡せり。
いかなれば追はるる如く
歳暮の忙がしき街を憂ひ迷ひて
晝もなほ酒場の椅子に醉はむとするぞ。
虚空を翔け行く鳥の如く
情緒もまた久しき過去に消え去るべし。
萩原朔太郎「乃木坂倶樂部」




アポリネールさんや
サンドラールさんや
プレヴェールさんや
 ブローティガンさんが
ずいぶん柔軟なものにしてくれた
自由詩のかたちを
われもしてみんとするなり
とばかりに
さらにぐにゃぐにゃに
いろいろ書き散らしてみながら
精神とか思想とか
そんなふうにとりあえず呼んじゃってもいいのかもしれないものま
さらにぐにゃぐにゃに
いろいろ骨抜きにしてみたら
なんかもう
ぐにゃぐにゃになり過ぎちゃって
低気圧になって体がだるく感じるような時なんか
安倍政権でもいいんでないの?
なんて
ぐにゃぐにゃ
思っちゃったりもするんだから
自由詩のかたちで
なんやかや
書き続けたりするのって
超あぶないです
増税もいいんでねえの?
だってだあれもマジで反対運動しねえんだもの
桜を見る会もいいんでねえの?
だって有名人がたかってウマイ汁吸って御神輿担いで
そんな有名人を日夜テレビとかネットで見続けながら民衆は
そこそこ満足したグッタリ感で暮らし続けているんだもの
とか
なんとかかんとか
思っちゃったりもして
超あぶないです
まぁ世の中なんていつもこんなふうで
為政者は遊興三昧で貯め込み三昧
そこに甘い汁目当ての蠅がワッとたかったり
提灯持ちがゾワッと集まってテカテカあかるくなっちゃって
いっぽう民衆の底辺層はみじめなもので
貧窮問答歌を詠いあったりしながら栄養失調死餓死凍死
はては老老介護の果てに心中
まぁ世の中なんていつもこんなふうで
アベがアヘアヘ悪いわけでもないでしょう
もっと悪いやつなんざぁ歴史上には溢れかえっていまっせ
とか
なんとかかんとか
寛容になっちゃったりして
超あぶないです
自由詩のかたちがいけないんです
悪いのはみんな自由詩のかたちなんです
もっと表現の不自由を取り戻さなきゃ
芋虫を踏んづけた時みたいに苦い汁や内臓が
ぶっちゅー
と吹き出すような真の表現は顕れ出ようがないのです
表現の不自由をバカにしちゃぁいけません
Vive表現の不自由!
もろびとこぞって定型詩に戻ろう!
定型詩しよう!
Vive定型詩!




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