2019年12月29日日曜日

世間の動きから遠ざかってしまって




人間には意志がなく、機械であり、
なにも行為することができず、
統一された「わたし」がなく、
我を忘れており、嘘つきであり、
眠っている…
           ゲオルギイ・グルジェフ*



世間の動きから遠ざかってしまって
なんだかすっかり忘れ去られてしまって
大きなうねりや流れから遠ざかってしまって

そう感じるときに
じつはいちばん中心にいたりするんだってことは
やっぱりだいぶ歳を取ってみないと
わからないかもしれない

大きなお祭りに行ってみたことがあるだろう?
年末年始に寺社に詣でて人混みのなかで数時間揉まれたことも?
そんなときにほんとうに中心にいたとでも思えた?
世界や時代や宇宙の中心にいたとでも?

まだ会ったこともないじぶんの中心にこそいたいだろう?
もううんざりしているじぶんの中心にいたいわけじゃないだろう?
ましてじぶんを翻弄し苛みうんざりさせる世間の中心になんて?

だから
世間の動きから遠ざかってしまって
なんだかすっかり忘れ去られてしまって
大きなうねりや流れから遠ざかってしまって
…そんなときにこそ
ほんとうはチャンスだ
じぶんのあたまの中で人間のことばがすっかり止んでしまう
数分数時間数日
さらには数ヶ月を過ごしたことはあるか?
ないのなら
まだまだ
世間の動きから遠ざかってしまわなければならない
すっかり忘れ去られてしまわなければならない
大きなうねりや流れから遠ざかってしまわなければならない

生きることのはじまりは
唯一
そのあと



*George Ivanovich Gurdjieff




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