2021年6月12日土曜日

本の中より蟲の声

 

富安風生の句に

 

本読めば本の中より蟲の声

 

というのがあり

ははぁん

と思う

 

こういう句に引き摺られて

俳句の凄まじさ

などと

思いを転がしはじめて悦に入ることは

よく文科のセンセや大学院生などがやってみせたがる愚行だが

やってみせた文字跡を論文だのと呼んで二重の悦に入ったりもする

 

この愚行のいちばんよくないところは

肝心の俳句の

軽みあるふて腐れ精神や

名人の合気道のような逸脱の所作を

あまりに華やかに外れてしまうところ

 

せっかくいい俳句を読んだのに

なぁにを学んだんだか

という

泥んこまみれの文芸読解ごっこ喜劇が出現してしまう

 

そういう

ドタバタ喜劇の一種も

芸風に

数えておこうと

すべきなのだろうか





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