童謡の「七つの子」を
ふと
口ずさんでみたくなって
ひとりで
歌ってみている
野口雨情の作詞した
名品である
子どものころ
第三連の
山の古巣へ
いってみてごらん
まるい目をした
いい子だよ
のはじめのところが
どうしても
ヤァーマァーノォー フゥールスヘ
と聞こえ
「フゥールス」というのが
英語かなにか
外国語に聞こえて
山にあるフゥールスって
なんだろう?
と
よく考えた
「古巣」ということばを知らなかったし
「フゥールス」のほうが
つやつやと黒い
あのカラスたちには
なんだか
似合っている感じもしたのだ
どちらかといえば
怖がられたり
嫌われたりするカラスに
「かわいい」とか
「まるい目をしたいい子」だとか
ポジティヴな形容だけを
与えた
ふしぎな
驚くべき童謡で
そこはかとないさびしさや
懐かしみが
付随しているのは
名作曲家の本居長世による曲づくりの
収穫である
長世は
本居宣長から六代目の
国学者の家系で
東京音楽学校を主席で卒業したあと
日本の伝統音楽の調査員補助として
母校に残ったという
ピアニストになろうとしたようだが
30歳ごろに発症した脳溢血で指に傷害が出て
音楽活動の方向を変えざるを得なかった
日本にとっては
それが幸いしたといえる
はじめの頃
長世の作品を独唱したのは
藤山一郎であったという
肺炎で60歳で亡くなったが
まだまだ若かったといえるだろう
敗戦直後の10月のことだというが
栄養欠乏が原因だったかもしれない
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