京都の子で
ひととき
愛したのは
伊東妙子ばかり
ほかのひとなら
鬱になる
とか
落ち込む
とか
暗くなる
とか
塞ぎ込む
とか
表現するような
とき
伊東妙子は
雲が流れてきて
しばらく
濃く留まっています
でも
待っていれば
大丈夫
また
流れていってしまうから
と
よく
言っていた
ベッドで
裸になると
いつも
顔を下に向け
両腕で頭をまるく包んで
天井にむけた
すべらかな背だけで
じぶんを守るようにして
卵のように丸まって
いた
卵のようだね
と
声を
かけたり
蛹のようだね
と
声を
かけたり
そうして
居たいんだね
そうして
居たらいい
いつも
そんなことを
言って
ちょっと離れたソファに
座って
ゆっくり
紅茶を
淹れていたり
した
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