古代ギリシア・ローマ以来、トピカ(topica)
その技能がトピカだった。アリストテレス、キケロ、アグリコラ、
ヴィーコのトピカ論は驚くほどにぼくの〝好み〟
松岡正剛「ジャン・バッティスタ・ヴィーコ『新しい学』」
(「松岡正剛の千夜千冊)より)
https://1000ya.isis.ne.jp/
精神の老人たちは
SNSやYouTubeを蔑視し
否定しようとする
ムキになってそれらを肯定する必要もないと思うし
その気もないが
全方位の好奇心で生きている者としては
なんでも
どこまでも
覗いてみる
人間界というのは
そもそも
どうしょうもなく偏ったおしゃべりや
曖昧で不正確きわまるうわさや情報交換の網の目なのだから
そこにSNSやYouTubeが加わって
ごった煮の闇鍋のような不正確かつ無責任言説領域が
ドッと拡張されたところで
基本のところが大きく変わるわけではない
ただ
それらを伝達したり記憶したりする電子記憶・演算装置が
よくもまあ
容量を無限に増やし続けていっていること!
と感心させられはする
あらゆる物質的なものに限界が来るのは宇宙的法則なのだから
肥大化し続ける電子記憶・演算装置にも
地球内の物理的制約下にある以上
いつかはきれいに破綻するであろうけれど
破綻後は様々な破片となって飛び散って
数千年後の知的生物たちの目にオーパーツOOPARTSとなって
すなわち「out-of-place artifacts」となって
謎解きの対象となっていくのだろう
いわゆる宇宙生成の謎とか
人間に至る生命体や意識や魂や霊や
でっちあげの創作ものとはいえ神々だとか
生死や存在や時間や
グッと不愉快なネタになるものの
世界規模の政治経済の裏側で展開され続けている企みや駆け引きな
熾烈な興味を持ち続けていると
それらのどれについても楽しい小ネタを展開してくれる
SNSやYouTubeの各コンテンツというのは
無限に面白く
だいたいひとつが10分とか20分ぐらいだとしても
一日に数十個も見ていると
アッという間に一日は暮れていってしまう
べつに世間にむけて公言はしないまでも
長年のキャリアを持つ心霊研究家であり神霊探究家であり
超能力練習実践家でもある以上は
書物でも実地の伝承収集でもSNSでもYouTubeでも
あらゆる神霊や心霊ネタは見ておくのを
フィールドワーク行為における常識としているので
はい
まァ、ほとんどは見ています
さて。
さて。
そういうSNSやYouTubeの観察者の目から見ていると
2025年に日本が滅びるとか
大地震や大津波や
はてはフィリピン海への隕石の落下で大平洋側が消滅するとかいう
いわゆる2025年問題などは
まあ
昔懐かしいノストラダムス流行を彷彿とさせるご愛敬としても
このところ
多くの都市伝説系コンテンツや
スピ系コンテンツの底流に
くっきりと
これまで日本の主権を蹂躙して富を奪い続けてきたアメリカへの
強烈な抵抗精神が浮き出てきていることや
あまりといえば
あまりな
とんでもネタの信じ込みが
非常に知的なはずの理系の人々の言動にも発生してしまっているこ
さらには
やはり知的なはずの理系の人々のあいだに
天皇制への無反省な賞讃が垣間見られるようになっていて
そのあたり
ちょっと気がかりになっている
さまざまなとんでもネタの信じ込みや
たとえば
神武天皇が神界から人界に下ったなどというオハナシなどは
いわゆる文系の研究経験を経てきた人間たちにおいては
まったくあり得ないことで
というのも
文系というのは
目の前の文字テキストの内容を
まずは
世評の方向性のとおりにはまったく信じず
書き手や編集者の主張するところとも
まずは分断して
テキスト自体の読みを明確に進め
他方
テキストに関わってくる情報・逸話・うわさ・評価などのたぐいを
べつの物語群として網羅的に視野に収め
この両者をつき合わせながら
さんざんに逡巡して
かなり正確に評定できる部分から
ぽつぽつと言語化していく他はない
というのを
叩き込まれるからなのだが
この最低限の基本的な対象の扱い方ができていない人たちが
目下
大挙してSNSやYouTubeに流れ込んでいて
文系的研究修練を受けていない人々の意識を不用意に染めていって
ということには
やはり
注意しておくべきだろうし
注視し続けていくべきだろう
もちろん
非常に厳密な知的な段取りを採ろうとする誠実な試みやコンテンツ
世界規模で眺めると
SNSやYouTubeには
すでに多量に収録されるようになっている
言語という限られた表象による文書という表現手段以外にも
用いられる表象の種類が格段に増えたという点は
率直に認めておかなければならない
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