2024年2月19日月曜日

ヴェネチアからフランクフルトへ

 


 

ヴェネチアからフランクフルトへ

木材の

古びに古びたゴンドラで

地上30メートルほどのところを飛び

 

しかし

途中のトレントやボルツァーノで

土地のチーズや

パンや

コーヒーなどをすこし買って

強風のところどころ吹きすさぶアルプス山脈を

ずいぶん無用心に越え

 

どうしてだろう?

インスブルックでは降りずに

地上のオーストリア人たちから

しずかに手を振られ

風に流されるように進んで行くうちに

みどりなす

ドイツの平原に入った

 

好天にずっと見舞われたのは

さいわい

 

上空にずっとひかりの輪となって

見守り続けてくれた太陽が

なぜ古代から神として崇められてきたのか

こころに沁みるように

わかった

 

シュトゥットガルトのアメリカ欧州軍司令部には寄らずに

じかにフランクフルト・アム・マインの

欧州中央銀行本部に向かうが

心ははやくも

用事のあとで会うクリエムヒルトと

どこで

軽いスイーツを食べようか?と

うれしく惑う

クワークベレヒャンもいいが

まずは

フランクフルタークランツを食べてから

パンのうまいドイツだから

ツアイト・フュー・ブロートでなにか買って

街中を散歩しながら

口に運ぶのもいいかもしれない

やはり

旧市街アルトシュタットに

長く滞在することになろうか

すこしは郊外へも

美しい路面電車に乗って

足をのばしてみたい

 

フランクフルト・アム・マインは

なんといっても

ゲーテ生誕の地だから

カイザードームや

レーマーベルク

パウルス教会といった

定番の観光拠点だけでなく

ゲーテの生家も

もちろん再訪してみよう

 

以前訪ねた時には

思いもしなかったが

14歳ごろにはすでに

フランス語も英語もイタリア語も

もちろんラテン語も

ギリシア語も

ヘブライ語までも習得していたゲーテの

初恋相手は

彼の住まいの近くの料理屋の娘の親戚で

のちに大作『ファウスト』のヒロインの名に使う

グレートヒェンだったから

彼女へのゲーテ少年の思いも

想いながら

今度はまわってみることにしよう

 

柿本人麻呂を思いながら

憑かれたようにして

明日香の夕暮れから夜にかけてを

何度か歩きまわった時の

ように

 

 




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