気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
見ていると
霧は山から山へ這っていくように位置を変え
その移動のしかたこそが
時間というものの本質に思えた
きっと
時計たちは青ざめて
時間のエキスパートであることなど
放棄してしまうだろう
そう思えて
異国のうらぶれた路地の小店でたわむれに買った
偽石ばかりが麗々しく文字盤を囲む腕時計を見てみたら
なんと!
というか
やはり!
というべきか
文字盤から時針も分針も消えてしまっていて
そればかりか
鏡になってしまっていた!
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