2024年3月26日火曜日

それとも絶望しているわたしにこそ

 

 

 

だれよりも世界に

人間に

絶望しているわたしだが

それでも

すばらしいひとびとが

この瞬間にも

たくさん居るのは

よく知っている

 

そうしたひとびとの存在に

気づきながら

それでは

わたしの絶望は

いったい何への絶望なのか?

とは

よく問い直す

 

五月になれば

つよい芳香を漂わせて咲く

あれらの藤の花房に

大きな羽音を立てて寄り来る

マルハナバチを

過度に怖がりすぎる子や

美しく咲きあふれる花壇の肥料の臭いを

大げさなまでに嫌う

娘たちのように

わたしもまた世界に

人間に

絶望しているのか

 

それとも

絶望しているわたしにこそ

わたしは

絶望しているのか






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