2024年3月27日水曜日

色なき血の滲むばかりの夢想を

 

 

 

詩、

みなさま、

―空虚や死やまったくの空無についての

この果てしない

語り続け。

パウル・ツェラン

 

 

 

 

色とかたち

ということについて言えば

このふたつを完全に分離して味わいたい

経験し続けたい

というのが

わたしの至上の不可能な夢だ

 

地上では

あらゆる色はかたちに重なっており

あらゆるかたちは

色に侵されてしまっている

 

無色のかたちもある

と言われるかもしれないが

それは透明の場合であろうし

ひどい時には

白や灰色であったりする

黒を無色と呼ぶ分類脳もあるが

黒は黒という色で

無色ではない

 

なにを考えるでもなく

色を見たり

かたちを見たりするのはわたしの日課の一部で

二度と戻らない時間を

どれほど贅沢に

色の体験や

かたちの体験に浪費していることか!

と時どき呆れかえる

 

そうして

どんな色を見ている時も

どんなかたちを見ている時も

わたしは色なき血の滲むばかりの夢想をしているのだ!

 

ああ!

この色が

かたちから遊離していれば!

 

ああ!

このかたちが

色をすっかり落してしまっていれば!

 

 



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