いかにぞやもある世かな。
こころもかたちも、とりどりに捨つべきもなく、
また、思ひ定むべきもなき。
『源氏物語』葵
紫式部のことを扱った
ドラマを
テレビでやっている
今年
なのだとか
見ていないので
どう描いているのか
わからないが
あのひとを知りたければ
書き残した言葉に
ぴったり貼りついて
RNAからDNAへの逆転写を
わたしたちの精神に起こすほか
あるまい
ものを
だれもが繙く
あの長大な物語の字面だけでなく
たとえば
ふとためいきを洩らしたような
後拾遺和歌集の
山桜の頃の
こんな歌などにも
世の中をなになげかまし山桜花見るほどの心なりせば
世の中のこと
なにを
嘆くことがあるかしら
山桜を見るような
こんなこころでさえ
いられたならば
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