2023年9月3日日曜日

いい月の晩だよ

  

 

8月おわりから9月はじめ

晴れていたし

きれいに月が見えつづけていて

良夜

といっていいのか

いい夜だった

 

(季語でいえば

良夜は旧暦8月15日にあたり

中秋の名月の時で

今年なら9月29日の満月の夜にあたるが

月がきれいで

のんびりとして

いい夜だなあ

という夜は

個人的には

みんな

「良夜」ということにしてあるので

あしからず)

 

まあ

ちょっと暑くて

歩いて帰ってくると汗が出るから

良夜

とは言えないなあ

という考えもわかるが

満月やその前後の月だけに注目してみると

きれいにくっきり見えて

いい夜

 

そんな月を見ながら

「~のようだ」と譬えを連発してみて

どれがいちばんいい譬えだろう

なんてアタマの中の遊びをするのだが

「銀の玉にちょっと暗くなにかが映っているようだ」とか

大空からこちらを見つけている少し黄色がかった銀の目のようだ」とか

「通路のわきの暗がりに落っことしたパチンコ玉のようだ」とか

いろいろ考えて言葉ならべして見ても

けっこう後が続かず

譬えを作るというのはまったくもって頭脳労働だな

とあらためて思い知る

しかもなにに喩えてみたところで

月の鋭いひかりや

煌々とした奇跡的なありようや

きれいにくっきりしている不思議さなどは

なかなか手には入らない

 

ちょっとじめじめしてきて

湿っぽくて

シャツにもう汗染みができちゃって

そういうのは参っちゃうが

それにしても

いい月だ

 

暑くて

汗が出ていやになっちゃうね

では

終わらせないで

やっぱり

いい月だよ

いい月の晩だよ

という言葉で

終わらせたい

そんな晩だ





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